2022/03/03痛くなければむし歯じゃないの?
皆様こんにちは!横浜市鶴見区にある歯医者さん
インプラントのヴェリタスインプラントサロン横浜
歯周病治療のうえの歯科医院、歯科医師の米長です。
突然ですが、むし歯は痛い、というイメージありませんか?
我々がむし歯を見つけても、時々、痛くないのでむし歯ではないのでは?という方もいらっしゃいます。むし歯、というのはどういう状態なのでしょうか。
むし歯、というのは口の中で生活している細菌、常在菌が増えた時に発生します。正確には、常在菌が増えた状態が続くことで、むし歯が生じます。
なぜむし歯が発生するかと言えば、常在菌が増えた結果、常在菌が代謝を行って“酸”が発生するからです。酸が発生して歯に付着すると、歯は溶かされてしまいます。歯が酸にさらされて溶けると、歯は柔らかくなっていきます。通常は、触って分かる通り、とても硬いのが歯です。人の身体で一番硬い物質が歯なんです。化石でも、発見される歯は骨よりもしっかりとした形で発掘されますね。何万年たっても形がそのまま残るほど硬いのが歯なのです。そんな歯も、酸にさらされると柔らかくなってしまいます。歯が酸で柔らかくなると、ゼリー状になっていきます。
口の中には唾液があります。唾液は酸を洗い流してくれるなど、大切な役割を果たしています。唾液にはカルシウムが含まれています。唾液が酸を洗い流して、カルシウムで覆ってくれることで、溶けてしまった歯を回復させてくれる効果もあります。唾液には抗菌作用もあり常在菌を減らしてくれています。しかし常在菌は唾液の中でも生きていける様に工夫して生活しています。なかでも、S.mutans S.sobrinusの2種の菌はむし歯の原因菌として知られています。これらのStreptococcus(レンサ球菌)と呼ばれる菌は、菌体外多糖と呼ばれる粘性の物質を作り出します。レンサ球菌は砂糖を食べてネバネバした菌体外多糖を周りに作り出して、唾液から自分を守ります。この菌体外多糖にレンサ球菌をはじめとした様々な常在菌が身を隠して、増殖していきます。細菌は砂糖を好んで食べて増殖し、その結果として酸を発生させます。発生した酸も、菌体外多糖の中に停滞します。これが継続してしまうと、唾液による洗浄や回復が起こらず、歯が溶かされていきます。
私たちは毎日、歯みがきをしますね。歯みがきは、常在菌と、常在菌が作った菌体外多糖、食べかすなどを除去するのがその役目になります。歯みがきをすることで唾液が十分に機能を発揮でき、常在菌の数を抑制して、酸にさらされた歯を回復させてくれます。重要な事は、完璧な一回よりも、適切に複数回が大切という事です。酸にさらされる時間を減らすためには、歯みがきによる除去の回数を増やすことです。1日に1回、完璧に磨けたとしても、次まで20時間以上空いてしまうとすると、20時間の間、歯が酸にさらされることになってしまいます。一方で、その半分の時間で1日に3回磨ければ、酸にさらされる時間も短くなり、唾液の効果が続く時間が確保されます。歯みがきの回数分、常在菌の数も減らすことができます。毎食後、できれば、寝る前にもう一回、歯みがきができるとより効果的です。加えてフロスや歯間ブラシが使えると、更に効果的になります。
ところで、最初に書いたように、むし歯は痛いのでしょうか?答えは、痛い時もあるが、痛くない事の方が多いです。なぜでしょう。そもそも、むし歯で歯が傷むのはなぜでしょうか。歯の中心には“歯髄(しずい)”と呼ばれる部分があります。髄というのは、骨髄・脊髄などといった組織や、神髄・心髄などといった言葉、骨の髄まで、などという言葉もありますが、中心のとなる、重要な部位を指しています。歯の中心、歯髄には血が流れていて、痛みを感じる神経細胞があります。この歯髄に細菌が接触してしまう事で、痛みを発生させてしまいます。つまり、歯の神経と呼ばれる、歯の中心、歯髄までむし歯が進行してしまう事で、初めて痛みを感じる事になります。
歯にはエナメル質と呼ばれる外層の白い部分と、その中に象牙質と呼ばれる歯の骨格の部分、そしてその中心に歯髄と呼ばれる血流と神経細胞があります。歯はこの3つの組織で構成されていますが、象牙質は歯髄によって作られ、象牙質の内部にも歯髄細胞が入り込んでいます。この入り組んだ構造と、互いの関係から、象牙質歯髄複合体と呼ばれています。歯がむし歯になって最初に溶かされるのがエナメル質です。その先にあるのが象牙質ですが、象牙質の中でも、歯髄が広がっている部分であればしみる、痛いといった感覚があるし、歯髄が伸びていない部分であれば痛みも感じにくい、という事になります。また、先に書いたように、歯髄が象牙質を作っています。歯髄は細菌の出す酸を感じると、体を守ろうとして象牙質を更に作ろうとします。歯の中で歯が作られているのです。体も痛みを出さないように、守ろうとしているのです。痛みもないのにむし歯、という状態は、口の中の小さな歯の中で、人体の不思議が働いて守ってくれている結果なのです。
口の中にも不思議はいっぱいですね。
しかし、歯は、一度失うと返ってきません。こつこつ毎日歯を磨いていきましょう。
うえの歯科医院では歯の治療だけでなくメンテナンスも行っています。
ぜひご相談ください!
【ブログ監修者】
医療法人VERITAS うえの歯科医院
理事長 上野友也
1993年 鶴見大学歯学部卒業
1995年 東京医科歯科大学歯学部医員研修医終了
1996年 鶴見大学第三補綴学講座臨床専科生
2000年 アストラテックインプラントベーシックコース修了
2002年 うえの歯科医院設立
2004年 医療法人ヴェリタスオーラルケアセンター設立
2008年 OSIインプラントアドバンスコース修了
2008年 JIADSペリオコース修了
2009年 JIADSエンドコース修了
2010年 JIADS補綴コース修了
2010年 JIADSペリオ&インプラントアドバンスコース修了
2012年 ニューヨーク大学CDE在籍
• 所 属
国際インプラント学会(ICOI)会員
日本顎咬合学会会員
財団法人プロスピーカー協力アシスタントプロスピーカー
OSI会員
JIADS会員
厚生労働省認定歯科医師臨床研修指導医
鶴見大学歯学部附属病院共同診療医
済生会東部病院共同診療医
横浜労災病院共同診療医
日本歯周病学会
日本臨床歯周病学会
日本口腔インプラント学会
鶴見大学歯学部歯周病学講座