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2021/02/25歯科医師になった理由

皆様こんにちは!横浜市鶴見区にある歯医者さん!

インプラントのヴェリタスインプラントサロン横浜

歯周病治療のうえの歯科医院、歯科医師の米長です。


今回は私が歯科医師になった理由をお話しします。


私は歯学部の他にもう一つ大学を卒業しています。

高校を卒業してから何もしていなかった時期もあり、何かしなきゃと思っていた私は、何かしたいことも見つけられず大学に進学しました。入学した駒澤大学法学部法律学科では、実は何もしていませんでした。興味もなく入学してしまったものですから、授業もそこそこに部活ばかりに精を出していました。合唱団に入った私はテノールパートとして頑張ることが生きがいでした。3年生になると就職活動の話が始まります。それでもしたい事が見つからなかった私は就職活動にも参加していませんでした。

私は祖母に育ててもらったのですが、その祖母が2年生のころに亡くなりました。認知症で周りの事が何も出来なくなり、分からなくなっていました。なくなる少し前、施設に入っていた祖母に会いに行きました。もう長くないから、と言われて。父の事も、誰の事も分からないから、と言われて遠くから見ていた私に、祖母は「秀ちゃん」と声をかけてくれました。私の事だけは分かってくれた。たまたまだと思います。でもとても救われました。自分も存在していいんだと、思う事が出来ました。

しばらくして祖母はなくなりました。それでも何をしたいのか見つからなかった私は、取り敢えず、ボランティアを始めました。何かを始める、という勇気が湧かなかったんだと思います。今後の人生をこれに賭ける、という決断が出来なかったんだと思います。祖母に出来なかった恩返しをしたいと思って始めたのは高齢者施設のボランティアでした。しかし、何ができるわけでもなく、お話を聞いて、お茶を入れて、トイレに連れて行ってなど、ただそこにいるだけでした。

決意も思いもなかった私はボランティアをさぼる事もありました。そんな私に、本田さんというおじいちゃんが声をかけてくれました。

本田さんは「ちょっとちょっと」といって人のいない部屋に私を連れていきました。足が悪くて歩けず、車椅子に乗った80代のおじいちゃんです。何だろう。と思いました。ボランティアを始める時に「介護の仕事をしたいんです」と言っていた私の事を覚えていてくださったようで、本田さんは「介護の仕事をしたいんだって?」と聞きました。私は「はい。」と答えました。本田さんは少し口元を引き締めてじっと私を見つめました。その後に話されたことは凄く意外でした。

介護の仕事には絶対についちゃいけない。君は優しいから、どんな仕事だってできる。だから介護の仕事はしないでほしい。介護職の人には本当に、心の底から感謝している。でも、見てごらん。あんなに働いてお昼はカップ麺を食べてる。大木さん(職員のチーフ)は去年男の子が生まれたけど休みもないし子育ての時間なんてない。奥さんも忙しいからずっとお母さんが面倒見てるんだよ。あんなに優しくて気配りが出来て仕事が出来る人がそんな仕事をしているのは間違いだと思う。本当に感謝しているんだ。だからこそ、君にこの仕事はさせられない。

そんなことを2時間以上、話してくださいました。本田さんはずっと涙を流していました。普段は気さくで笑顔の絶えない方で、もともと総合商社の専務をしていた方だそうで、話も面白い方でした。本当に意外でした。80代のおじいちゃんに泣きながら説得される、という経験はなかなかないと思います。私はありがとうございます。しか言えず、何をするべきなのか、また悩むようになりました。

悩んでも悩んでも、というより、悩めば悩むほど、亡くなった祖母と祖父の顔、本田さんの顔がぐるぐると浮かんできて、余計にどうすれば良いのか分からなくなりました。

私はその頃、所属していたゼミで卒業論文に取り組んでいました。介護の仕事に就くつもりで書いていたので、内容も介護保険法についてでした。そこで資料を見ていくうちに、歯科医療の大切さに目が行くようになりました。いろいろな本に歯科医が出てくるのです。驚きました。歯科医師の仕事はむし歯を削る、歯を抜くなど、怖いイメージしかなかったものですから、「人助けをしている」などと考えてもみなかったのです。

私の心の中で決めていたことは祖母に恩返しができる職業に就く、という事だけでした。私は卒業論文を書いていく中で歯科医師になる、と決めました。しかし、決めたところで先立つものが必要ですから、母にお願いをして、お願いをして。歯学部に進むことが出来ました。大学を卒業して翌月から歯学部2年次へ編入学です。母もよく許したなと思います。お金がかかりますからね。私もそれに報いようと必死に勉強しました。教科書の内容と頁を覚えていたくらい教科書を読みました。歯科医師国家試験の合格率は65%です。6年間の教育が義務づけられた中で、65%しか合格しないというのは非常に厳しい基準です。しかし私は、自分を歯科医師にしなかったら国の損になる。私は絶対に合格する。と思っていました。言葉にすると頭がおかしそうですが、それくらい勉強したし思いも強いという事です。

やはり周りを見ていると、歯科医師になりたいという気持ちや、歯科医師として頑張る、歯科医師になってしたいことがある、という思いが強い人は勉強も出来ていたと思います。中には10年間歯学部に通い、国家試験に受からない人もいました。不思議な世界です。

色んな経験をしてきたから歯科医師になれたんだと思います。そんな事なくともなれる人はたくさんいると思いますが、私には必要だったし、それがあったから頑張れるんだと思います。


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