2022/03/27歯周病の進み方
インプラントのヴェリタスインプラントサロン横浜
歯周病治療のうえの歯科医院、歯科医師の米長です。
歯周病ってどんな病気か知ってますか?
そもそも、歯周病を病気だとは思ってない人が殆どではないでしょうか。
でも、歯周病は“病”なんです。歯周病はどのようにして患うのでしょうか。どんな病気なんでしょうか。
歯周病は読んで字のごとく、歯の周りの病気です。
少し前まで、“歯槽膿漏”と呼ばれていたものも歯周病の一部です。
歯槽とは、歯を支える骨の事を言います。歯槽骨と呼ばれる、顎骨の一部です。
歯槽骨から膿が漏れるのが歯槽膿漏です。膿が出る、というのは感染が強くなり、体の免疫機能である白血球が大量に戦っている状態です。つまり、強い炎症が起きている、歯周病の重度の状態を指します。
少し前までは、膿が出て初めて歯医者に行く、というのがふつうであったために、“歯槽膿漏”という言葉の方が普及していたんですね。それが、健康意識の高まりや、予防の重要性が広まるにつれて、歯槽膿漏になる前、歯周炎の状態で、できればその前の、歯肉炎の状態で、治療を開始しようという意識気が高まっているんですね。
歯周病は上に書いた、歯肉炎が進行した状態で、歯槽膿漏を含む歯周組織の炎症状態を指しています。
食事をすると歯には大小の汚れがたくさんつきます。その汚れを餌に、口の中の細菌“常在菌”が栄養を求めて繁殖します。人の身体は細菌で出来ている、などとも言われるくらい、外来の生物と共存しています。細胞の中には、人類が生まれる前から共存しているミトコンドリアという細菌が住んでいたり、腸の中の大腸菌や乳酸菌、酪酸菌などが住んでいたりします。私たち動物は、こういった細菌と共存することで、ビタミンを得たり、エネルギーを得たりしています。良い影響をくれる細菌がいる一方で、悪い影響を与えてしまう細菌もいたりします。善玉菌と悪玉菌なんて言いますね。それら常在菌の中に、むし歯菌や歯周病原菌も含まれています。歯ブラシを効果的に定期的に行う事で細菌の数をコントロール出来ていれば、症状を出すことはありません。しかし、汚れがたまってしまう事で細菌が増殖してしまう事で、体に悪影響を出してしまう、その一部がむし歯や歯周病です。
口の中の常在菌“口腔常在菌”が増えてしまう事で歯周病を作ってしまうんですね。
では、歯周病はどうして起きてしまうのでしょうか。
歯周病原菌の特徴は、“歯石”をつくる事です。
口腔常在菌は、食べかすや粘膜の垢を食べて増殖しますが、その中でプラーク(歯垢)を作り出してコロニーをつくります。プラークは色々な細菌がお互いに助け合って共存しているコロニーです。口の中にある唾液は殺菌作用も持っています。唾液に晒されてしまうと死んでしまう細菌はプラークの中に身を潜めることで自分たちを守っています。このプラークは、栄養を得ながら成長していきます。プラークが成長する前に壊してしまうのが歯磨きの役目ですね。
プラークが数日間成長を続けていくと、部分的にカルシウムを吸収して硬くなる部分が現れます。プラークが硬くなると“歯石”に成長します。歯石は歯ブラシなどでは取れないほど硬く、しかも歯の表面にくっついていきます。
歯石ははじめ、歯と歯の間や歯と歯茎の間にできていきます。これは、歯ブラシが届きにくい部分にプラークがたまりやすく、それが歯石に変わるからです。一度歯石がついてしまうと、取れる事は難しく、歯石の表面にまたプラークが着くことでコロニーが成長し、また歯石へと変化していきます。最初、1ミリにも満たない歯石も1~2月で数ミリまで成長してしまいます。
細菌の中には、好気性菌(空気がないと生きられない菌)と嫌気性菌(空気があると生きられない菌)と、その中間で空気が好きだったり嫌いだったりする細菌が存在します。歯周病原菌は、空気があっても生きられるけど、空気が無い方が好きな菌“通性嫌気性菌”が多いです。歯石ができはじめると、空気が無い方に好んで増殖していくようになります。口の中で空気を避けて成長する先は、歯と歯茎の間“歯周ポケット”です。歯周ポケットは歯と歯茎の隙間で、健康で清潔な部分にもその隙間があります。歯石が歯肉の周囲に出来ると、細菌の増殖によって周囲を酸性にし、歯肉では炎症を生じます。炎症が生じるとき、体はそこを守るために免疫応答(免疫反応)として血液をたくさん送ります。赤くなったり腫れたりするのはその為です。歯肉のみで炎症が起きた状態を“歯肉炎”と呼んでいます。歯石から身体を守ろうとしている、最初の段階が歯肉炎ですね。
歯石とプラークで出来ているコロニーが成長を続けて、更に増えていくと、空気から逃げて歯周ポケットの中に巣を作っていきます。歯周ポケットの中で作ったコロニーが歯石に変化していくことで“縁下歯石”を作っていきます。歯周ポケットの中は、体の中と外の境界線です。ここに細菌が侵入すると、体も一層免疫応答を強めます。大量の血液を送って細菌と戦います。「歯ぐきから出血する」状態が起きていきます。体は免疫応答を起こしますが、免疫応答でなくなることはありません。
うえの歯科医院では歯周病の治療も行っています。
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