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2022/02/06感染症は怖いです

皆様こんにちは!横浜市鶴見区にある歯医者さん

インプラントのヴェリタスインプラントサロン横浜

歯周病治療のうえの歯科医院、歯科医師の米長です。



前回の続きになります。



数分から数時間で倍増していく微生物は、その増殖の回数だけ、変異する機会があるのです。

生物は変異を繰り返し、たまたま成功した特殊な個体が、進化、と呼ばれます。

体の免疫機能で淘汰されながら、強い個体が生き残って、別の宿へと移っていき、また増殖します。

このスピードが大変速いのが、新型コロナウィルスの脅威ですね。

アルファ株から始まった新型コロナウィルスが数年間で進化を繰り返してオミクロン株に至っていますので

すでに15番目の強力な個体を生み出しているのです。


特別強い感染力や致死性や重症化させる能力があるものが命名されていますので、この15種では収まらない数のウィルスが、新型コロナウィルスから生み出されているのがコロナ禍の恐ろしさですね。



ところで、感染症の話をずっとしてきましたが、歯と感染症は関係あるのでしょうか。

歯の病気と言えばむし歯と歯周病(歯槽膿漏)ですが、これは感染症です。実は。

むし歯と歯周病の病原体が口に感染して発生します。

歯に感染した微生物が砂糖を取ることで歯を溶かし、むし歯 を作ります。

また歯に感染した微生物が歯ぐき(歯周ポケット)で増殖することで顎の骨を溶かすと、歯周病 を作ります。


では口の感染症の侵入、定着、増殖はどのようにして起こるのでしょうか。


侵入

口の中の細菌は細菌叢(さいきんそう)と呼ばれる環境を形成しています。

これは、人でいえば、国や市区町村の人口比率の様なものです。

年齢別比率、性別比率、人種別比率など、いろいろな統計がありますね。

一定の水準で推移はしますが、特別な事が無ければ基本的には突然変化するものではありません。

天災やパンデミックなどによる、死者数が多い場合、この比率は変化します。

話を戻して、口の中に微生物が侵入するのは、0歳の頃です。

基本的には保育者から感染することで侵入します。

母親や祖父母、保母などからの感染が多いと言われています。(お父さん、忙しいんですね。。)

この時に感染するのは、前回書いたように、より強力な個体です。

生存能力の高い個体が別の宿へ移っていくのです。

微生物の株は、数えきれない数存在します。


株というのは、分かりにくいですが、人でいえば

地球には人間がいます。

人間には、アフリカ、アジア、ヨーロッパなどに人種が存在します。

我々は、アジアと呼ばれる地域の、日本という国に住んでいます。

私は東京都の23区内で生まれて、今は神奈川県の横浜市に住んでいます。

人類学的にはアフリカ人の子孫の可能性が高く、アジア人と呼ばれる人で、モンゴロイドで、日本人で

とたくさん属性を持っていますね。

日本には私と同じ人間がたくさんいますね。

一方で、私は私以外の人とは別の人間でもあります。


これが株(かぶ)ですね。ざっくり見れば全部同じだけど、よく見たら違う、という様な。

ざっくり見ると、むし歯の病原菌と、歯周病の病原菌です。

その中で、個々の株が家庭の中で、または地域の中で引き継がれていくわけです。


定着

上にも書いたように、種類と株にはたくさん種類があります。

その中で、数が多かったり、定着力が強かったりするものが定着していきます。

人それぞれに細菌叢が構成されていきます。


増殖

定着した後には増殖が起こります。

0歳で歯が生えてきた頃に侵入と定着が起こりますが、歯の本数が少ないと増殖の数も少ないです。

また、歯が小さいので歯の表面積が小さかったり、歯の周りの組織(歯周組織)が成長途中の為に歯周病にもなりにくいです。

子どもの頃には歯並びが良い事が多く、また歯と歯の間も密でないので磨きやすい事もあります。

増殖しにくいこの時期にむし歯になってしまう場合には、砂糖が多いなど、別の原因がある事があります。

子どもの頃にむし歯になってしまうと、細菌叢の中でもむし歯菌の割合が増えてしまいます。

そうすると、むし歯になり易い、という状況になり易くなるので注意しましょう。

また、顎と歯並びが完成する20歳の頃に歯周病になり始めます。

歯磨き習慣がない場合や、歯並びが悪く歯磨きがゆき届かない場合、10代前半でも歯周病になり始める方はいらっしゃいます。

家族に歯周病の方がいる場合には特に気をつけましょう。細菌叢は0歳から形成されますが、持続的に感染があります。思春期には生活の変化や身体の変化によって特に変化しやすいです。



ここまで話してきましたが、口の感染症であるむし歯と歯周病には何が必要でしょうか。

それは、新型コロナウィルスにヒントがありそうです。

新型コロナウィルスの蔓延によって、手洗いの回数が増え、消毒の回数が増え、マスクを使用する機会が増えました。

その結果、麻疹やインフルエンザの数が著しく低下しています。

新型コロナウィルスも、他の国に比べると圧倒的に感染を抑えることに成功しています。


では、口では?

毎食後の歯磨き、衛生士による指導と清掃、早期治療

そして、国と地域全体でこれに取り組むことで良くなっていきそうです。


生物は常に感染症と戦ってきました。

文明が発達する以前に平均年齢が著しく低かった原因は、感染症による死であったとも言われています。


感染に敏感な今だからこそ、口の中のエチケットとして歯磨きを。